るうママ退役後もTRICAREが使えるなら、医療費は現役中とそれほど変わらないのかな。
私も最初は、そんなふうに思っていました。
ところが、実際に料金表を開いてみると、Enrollment Fee、Copayment、Deductible、Cost-shareなど、聞き慣れない言葉がずらり。「結局、病院に行ったらいくら払うの?」と戸惑ってしまいます。
米軍を20年以上務めて通常退役した方や、TDRL・PDRLに載るメディカル退役となった方は、退役後もTRICAREの対象になります。
ただし、現役中と退役後では、医療費の仕組みや自己負担の考え方が変わります。
この記事では、複雑に見えるTRICAREの医療費を4つに分け、図解と2026年の料金表を使いながら、初めての方にも分かりやすく説明します。
\こんな人におすすめ/
- 退役後のTRICAREで、何にお金がかかるのか知りたい方
- Copay・Deductible・Cost-shareの違いが分からない方
- TRICAREの料金表やEOBを自分で読めるようになりたい方
この記事は2026年8月時点での料金表を例に使って説明をしています。料金表は必ず最新年度のものをご確認ください。
TRICAREの費用は4つに分けて考える
TRICAREにかかるお金と仕組みを、まず次の4つに分けてみます。
- プランを維持するためのお金
- 病院や薬局を利用したときのお金
- 1年間の対象となる自己負担の上限
- どのProvider(医師・病院)を使い、何を基準に医療費が計算されるか
この4つを別々に考えるだけでも、料金表がかなり読みやすくなります。


TRICAREの料金表を見る前に確認する3つ
① TRICARE PrimeかSelectか
退役後に利用する主なプランはTRICARE PrimeとTRICARE Selectですが、料金の仕組みや自己負担は同じではありません。
まず、自分と家族がどのプランに加入しているのかを確認します。
② Group AかGroup Bか
Groupは、スポンサーが米軍へ最初に入隊した日で決まります。
- Group A:2018年1月1日より前
- Group B:2018年1月1日以降
同じプランでも、この入隊GroupによってEnrollment Fee、Deductible、Copayなどが異なる場合があります。
③ 何年度の料金か
TRICAREの料金は毎年変わるので、必ず最新年度のものをご確認ください。
2026年のTRICARE Prime・Selectの具体的な金額は、こちらの記事にまとめています。


TRICAREで覚えておきたい用語



次に、料金表やEOBに出てくる代表的な用語を学びます。
① Enrollment Fee:プランへ加入するための年間登録料
退役後に利用するTRICARE PrimeやTRICARE Selectでは、Enrollment Feeと呼ばれるプランへ加入・継続するための年間登録料が設定されています。ただし、プランや資格区分によっては$0の場合もあります。
これは、病院に行った回数に関係なくかかるお金なので、日本の感覚に置き換えるなら「TRICAREのプランを持つためのお金」と考えると分かりやすいでしょう。
Enrollment Feeは、次の条件によって金額が変わります。
- Primeプラン、またはSelectプラン
- Group A、またはGroup B
- 個人プラン、または家族プラン



実際の料金表を一緒に見てみます。(2026年現在)


例)上記の表ではグループAの退役軍人個人と家族プラン、プライムとセレクトの両方の料金が一目で分かります。
Enrollment Feeには『Annual』と書かれているので、これは1年間分の登録料です。
お支払い方法は:
- Allotment(退役年金からの自動引落し)
- Electronic Funds Transfer(銀行引落し)
- Credit or Debit card(クレカまたはデビットカード)
- Pay Online(オンライン)
- Pay By Phone(電話で支払い)
もし、このEnrollment Feeを12ヶ月に分割して、退役年金からAllotment(自動引落し)として毎月支払っている場合は、RAS:Retiree Account Statement(退役年金明細)で金額を確認することができます。



我が家の場合を例にすると、RASの2ページ目にあるAllotments欄で確認できます👇


② Deductible:費用分担が始まる前に払う自己負担額
Deductibleは、TRICAREとの費用分担が始まる前にまず自分で支払う金額です。
日本の健康保険ではあまりなじみがないため、特に分かりにくい用語かもしれません。
そして、TRICAREで使われるDeductibleには、通常のAnnual Deductibleと、TRICARE Primeのルールから外れて受診したときに適用されるPoint-of-Service(POS)Deductibleがあります。
- Annual Deductible:主にTRICARE SelectプランやPremium-basedプランで適用される年間Deductible
- POS Deductible:TRICARE Primeは年間のDeductibleがないプランですが、紹介状が必要な非緊急診療を紹介状なしで受けた場合などには別枠のPOS Deductibleが適用されます
このDeductibleを満たしたあとは、CopayやCost-shareなど、それぞれのプランのルールに沿った自己負担が始まります。



Deductibleを満たしたら、その後の医療費がすべて無料になるという意味ではなくて、ここでようやくTRICAREが医療費の負担(コストシェア)を始めてくれる(キックインする)仕組みになっています!


Group Bの退役軍人家族がTRICARE Selectを利用する場合は、Network Provider用とNon-network Provider用でAnnual Deductibleが分かれているのも要注意です。
一方を満たしても、もう一方を満たしたことにはなりません。


③ Point-of-Service Option:主治医の紹介状なしで受診した時の特別な自己負担
TRICARE Primeに加入している場合、本来必要な主治医(PCM)からの紹介状(Referral)なしで、急病ではないのに自分で選んだ医療機関を受診できる仕組みがPoint-of-Service(POS)オプションです。
紹介状の手間がない一方で、利用すると以下の高額な自己負担が発生するため注意が必要です。
- POS専用の年間Deductible(自己負担額):TRICAREが費用を負担し始める前に、まず個人なら$300、家族なら$600を自己負担で支払う必要があります。(2026年現在)
- 50%のCost-share(費用負担):Deductibleを満たしたあとも、TRICAREが認める医療費(Allowable Charge)の50%を自己負担します。
- Catastrophic Capに加算されない:ここで支払ったPOSの費用は、年間上限額である Catastrophic Cap にはカウントされません。
④ Copayment:1回ごとに払う決まった金額
Copayment、またはCopayは、病院や薬局を利用したときに支払う定額の自己負担です。


上記料金表の例を見ると、Primeプランの主治医診察のCopayは26ドル。つまりその診察1回につき支払う基本額は26ドルという考え方です。
病院があなたへ請求した総額を、そのまま全て自分が支払うわけではありません。



Copayは「診察1回ごとの定額負担」と覚えておきましょう。


⑤ Cost-share:医療費の一部を割合で負担
Cost-shareも、医療サービスを利用したときに支払う自己負担のひとつです。
Copayとの違いは、決まった金額ではなく、該当するAnnual Deductibleを満たした後、TRICAREが認めた医療費の何%を負担するかで計算される点にあります。


たとえば上記料金表の例を見ると、SelectプランでNon-network(ネットワーク外医療機関)の主治医または専門医の診察を受けた場合「25%」となっているので、これはCost-shareでTRICAREが認めた医療費の25%を自己負担するという意味です。
わかりやすく説明すると、日本の国民健康保険のシステムによく似ています。
日本の健康保険では一般的な医療サービスの自己負担が3割(30%)ですが、上の料金表にある「退役軍人・家族/TRICARE Select/Non-networkの診療」の例では、TRICAREが認めた医療費の25%が自己負担です。すべてのSelect利用者や、すべての診療が25%になるわけではありません。


まずはこの違いが分かれば大丈夫です。
⑥ Catastrophic Cap:対象となる自己負担の年間上限
Catastrophic Capは、TRICAREでカバーされる医療サービスについて、本人と家族が合計で、1暦年(1月1日〜12月31日)に支払う対象となる自己負担の上限です。


- Enrollment Fee
- Deductible
- Copay
- 薬のCopay
- 対象となるCost-share
などが積み上がり、その累計が上限に達するとTRICAREがその年の残りの対象費用を負担します。



累計が上限に達すると、その年の残りはTRICARE対象サービスに対する自己負担分をTRICAREが全て支払います。
ただ、ここがややこしいのですが、TRICAREでカバーされないサービス、Point-of-Service料金、一部のNon-network Providerで発生するTRICARE-allowable Chargeを超えた請求分2などはこの対象外です。


⑦ Network Provider:TRICAREのNetworkに入っている医師・病院
Network Providerは、TRICAREの地域コントラクターと契約しているProvider(医師・病院)です。
TRICAREの手続きや料金ルールに沿って請求するため、一般的に自己負担を抑えやすく、Claim(保険請求)の手続きもProvider側が行います。
ただし、Network Providerであれば、どのプランでもReferral(紹介状)なしで自由に受診できるという意味ではありません。
TRICARE Primeでは、受診前にPCMからReferralが必要なサービスがあります。
⑧ Non-network Provider:Network契約のないTRICARE認定の医師・病院
Non-network Providerは、TRICARE-authorized Providerではあるものの、TRICAREのNetworkには入っていないProviderです3。
「Non-network=TRICAREが使えない」という意味ではありません。
さらに、Non-network Providerには、TRICARE-allowable Chargeを全額の支払いとして受け入れるParticipating Providerと、それに同意していないNonparticipating Providerがあります。
Nonparticipating Providerでは、先に全額を支払って自分でClaimを提出する場合があり、アメリカ国内では、TRICARE-allowable Chargeに加えて最大15%まで請求される可能性もあるため、予約前の確認が大切です。なお、最大15%という上限はアメリカ国内のルールです。海外ではこの上限が適用されない場合があります。
⑨ TRICARE-allowable Charge:TRICAREが認める支払い上限額
TRICARE-allowable Chargeは、医療サービス、処置、医療機器などについて、TRICAREが支払いの基準として認める上限額です。
そのため、病院が請求する金額と、TRICAREが認める金額は同じとは限りません。
Cost-shareは、通常、病院の請求総額ではなくてTRICARE-allowable Chargeを基準に計算されます。
⑩ Explanation of Benefits:医療費の説明書
EOB:Explanation of Benefits(医療費給付説明書)では、Providerの請求額、TRICARE-allowable Charge、TRICAREが支払った額、Patient Responsibility(最終的な自己負担額)を分けて確認できます。
EOBは請求書ではありません。病院から請求書が届いた場合は、EOBに記載されたPatient Responsibilityと照らし合わせて確認します。
実際のEOBサンプル👇


EOBを会話モードにするとこんな感じ
病院:「この間の診察は$101になります!」
TRICARE:「この診察について、TRICAREが支払い基準として認める金額は$43.72です」
病院:「そうですか。では規則に従います」
TRICARE:「このEOBの例では患者負担が$38なので、残りの$5.72はTRICAREが支払います」



伝わりましたでしょうか?病院の請求額ではなく、TRICAREが認めた金額を基準に自己負担額が計算される仕組みです。
実際の支払うタイミングはProviderによって異なります。受診時にCopayを支払う場合もあれば、TRICAREのClaim処理後に病院から請求書が届く場合もあります。
TRICAREがどのようにClaimを処理したのか確認したい場合は、East・West・Overseasなど、ご自身の地域コントラクターのBeneficiary PortalへログインしてEOBを確認してください。
TRICAREの費用でよくある質問
- Annual DeductibleとPOS Deductibleは何が違いますか?
-
Annual Deductibleは、主にTRICARE SelectやPremium-based Planで使われる通常の年間Deductibleです。
POS DeductibleはTRICARE Primeの別枠のDeductibleで、紹介状が必要な非緊急診療を紹介状なしで受けた場合などに発生します。POSで支払うDeductibleやCost-shareはCatastrophic Capにカウントされないので注意が必要です。
- TRICARE Primeで紹介状なしに受診するとどうなりますか?
-
本来Referralが必要な非緊急診療を紹介状なしで受けると、Point-of-Service Optionとして処理される可能性があります。その場合は通常のPrimeの自己負担ではなく、POS Deductibleを満たしたあともTRICARE-allowable Chargeの50%を負担します。
ただし、緊急診療、地域内のNetwork Providerで受ける予防医療、ReferralまたはAuthorizationを取得した診療などはPOSの対象外です。
Urgent Careは条件によって扱いが異なるため、迷うときは受診前にPCMまたは地域コントラクターへ確認してください。
- 病院が「Network」か「Non-network」かは、どうやって見分けますか?
-
TRICARE公式の「Find a Doctor」で確認し、予約時にも病院へ直接確認する方法が安心です。病院には以下の順番で聞いてみてください。
- 「Are you in-network with TRICARE?」(ネットワークに入っていますか?)
- 「No」と言われたら ➡ 「Are you a TRICARE-authorized provider?」(TRICARE認定プロバイダーですか?)
TRICARE公式サイトの「Find a Doctor」から、地域ごとのProvider Directoryを確認できます。Network statusは変わることがあるため、予約時にも再確認してください。
※TFLをご利用の場合は、Medicareの検索ツールでご確認ください。
- Non-network ProviderはTRICARE対象外ですか?
-
いいえ。Non-network Providerでも、TRICARE-authorized ProviderであればTRICAREを利用できる場合があります。
ただし、プランによっては自己負担が高くなったり、自分でClaimを提出したりする可能性があります。特にTRICARE Primeでは、Network外を利用する前にReferralやAuthorizationの有無を確認してください。
- 病院の請求額とTRICARE-allowable Chargeはなぜ違うのですか?
-
病院は独自の金額を請求できますが、TRICAREはサービスごとに支払いの基準額を決めています。それがTRICARE-allowable Chargeです。
請求書に大きな金額が載っていても、その全額が自分の負担になるとは限りません。EOBにあるPatient Responsibilityを確認してから支払いましょう。
- 支払った費用はすべてCatastrophic Capに入りますか?
-
いいえ。TRICAREでカバーされないサービス、POS DeductibleやPOS Cost-share、TRICARE-allowable Chargeを超える金額などはCatastrophic Capに含まれません。
Catastrophic Capは「その年に支払った全額の上限」ではなく、TRICAREが対象と認める自己負担の年間上限です。
TRICAREの医療費まとめ


TRICAREの料金表は、英語の用語と数字が多いため、最初は難しく見えますが、まずはPrimeかSelectか、Group AかBか、何年度の料金かを確認し、自分の家族に該当する料金表を見るようにしましょう。
今回の覚えたい英単語10個!
- Enrollment Fee
- Deductible
- Point-of-Service Option
- Copayment
- Cost-share
- Catastrophic Cap
- Network Provider
- Non-network Provider
- TRICARE-allowable Charge
- Explanation of Benefits(EOB)



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もし、勤務先の福利厚生でFSA:Flexible Spending Account(医療費などに使える税引前の積立制度)が使えるなら、税金が引かれる前のお給料から医療費を積み立てられるのでとってもお得ですよ!


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