アメリカでは現在(2021年)、住宅ローンが歴史的な低金利になっています。そのため、マイホームを購入したり、既存の住宅ローンをリファイナンス(住宅ローンの借り換え)する人が増えているのをご存知ですか?
\この記事で分かること/
- リファイナンスの仕組みが分かる
- リファイナンスの流れが分かる
- リファイナンスをするかのヒントとなる
アメリカの住宅ローンのリファイナンスについて一緒に学んでいきましょう!
住宅ローンのリファイナンスとは何?
家を購入する際、元の家主(売り手)にお金を払います。大きな買い物ですからほとんどの場合、金融機関から融資を受け住宅ローンを組んでの購入が主だと思います。
実はリファイナンスもこれと同じような動きをします。
すでに住宅ローンを組んでいる借り手が、新規で住宅ローンを組み、既存の住宅ローンを一度完済。そして住宅ローンをより良い条件で組み直し、借り換える事をいいます。
主なリファイナンスの種類
金利レートと返済期間のリファイナンス
返済残高はそのままで低金利ローンへの借り換え、もしくは低金利ローン及び返済期間の両方を借り換えする。
キャッシュアウト・リファイナンス
住宅のリセールバリューの含み益(Equity)からお金を借りること。
キャッシュイン・リファイナンス
キャッシュアウトリファイナンスと比べるとあまり一般的ではありませんが、大きな金額を入れて借入額を下げる事で低金利の住宅ローンに借り換えること。他にもPrivate Mortgage Insurance(PMI)の支払いを避ける場合に有効な方法。
Private Mortgage Insurance(PMI)とは、借り手が返済を怠った場合に金融機関を保護する為の住宅ローン信用保険。頭金20%を用意できない場合に発生する追加保険。
なぜリファイナンスをするのか?
そもそも、なぜリファイナンスをするの?
既存の住宅ローンの金利を下げるため
- 住宅購入時よりもクレジットスコアが上がった。
- 住宅ローンの金利が下がった。
上記のような場合には、リファイナンスをすると金利が下がり、毎月利子として払っていた金額を減らせるため、月々の返済額が下がります。また利子として支払う総額を節約出来る場合があります。
住宅の含み資産にアクセスするため
リセールバリュー(Appraisal Value)が返済額を大きく上回る場合には、住宅の含み益(Equity)を借りる事ができます。
カーローンやクレジットカードローンなどは住宅ローンよりも金利が高い傾向にあります。
そこで住宅の含み益(Equity)を使い上記のような消費者ローンを完済し、ローンを1箇所にまとめて低金利ローンへと借り換えすることで支払総額を抑える事ができます。
他にも、家のリフォーム費用として含み益を借りる方も多いです。
このCash Outした含み益は税金がかからないのも、リファイナンスをする大きなメリットです。
住宅ローンを早く完済するため
金利が下がり毎月の支払い額が下がっても、これまでと同じ金額を支払い続けることで繰り上げ返済となり、結果的に住宅ローンを予定よりも早く完済することが可能です。
FHAローンのPrivate Mortgage Insurance(PMI)住宅ローン信用保険を無くすため
不動産購入には頭金として、購入する不動産価格の20%を入れるのが基本。
ところが低所得者向けのFHAローンは頭金をほんの3%用意するだけで住宅ローンを組む事が可能です。
少ない頭金で家が買えるのを引き換えに、毎月の住宅ローンにPMIが上乗せされて請求されるため、長い目でみるとPMIを払わない方がお得になる場合が多いです。
リファイナンスをすると借入額の比率を下げればPMIを取り除く事が可能になります。
Private Mortgage Insurance(PMI)とは、借り手が返済を怠った場合に金融機関を保護する為の住宅ローン信用保険。頭金20%を用意できない場合に発生する追加保険。
変動金利ローンから固定金利ローンに借り換えるため
変動金利ローンは市場の金利に左右され金利上昇のリスクがあります。
アメリカの住宅バブル崩壊もこの変動金利ローンを組んで家計圧迫されたのが原因の一つ。
このような大きなリスクを回避するため、固定金利ローンへのリファイナンスが可能です。
離婚などの理由により
配偶者と共同名義で購入した不動産の借入者のどちらかを削除する場合。
または含み益を使って配偶者に資産を分配する場合など。
住宅ローンのリファイナンスのデメリット
上記のようにメリットが多いリファイナンスですが、デメリットがあることも必ず頭に入れておかなくてはいけません。それではデメリットを上げてみましょう。
デメリット
- クロージングコスト(諸費用)がかかる
- 借入残高が増える場合がある
- 手間と時間が掛かる
- 住宅ローンの返済期間が伸びる場合がある
- 固定金利ローンだとさらに金利が下がった場合、新たな金利を求めて再リファイナンスが必要になる
- キャッシュアウト•リファイナンスでレバレッジの掛け過ぎにより、今後不動産価値が下がった場合に損をする場合がある
住宅ローンリファイナンスに必要な手順
それでは具体的なリファイナンスの手順を、我が家の手続きを例にとってステップごとにみていきましょう。
現在は申請から完了まで全てオンラインで出来るようになっている金融機関が多くなっているので、ここではオンラインでの手続きを前提にお話します。
ステップ1:まずは覚悟を決める
住宅ローンのリファイナンスをする事で金利は下がりますが、再度住宅ローンを組み直す事になるので、その手続きをする諸費用が必要になってきます。
リファイナンスしてもお得になる場合のみリファイナンスをする事をおすすめします。この諸費用は金融機関によって異なりますが、再借入額のおよそ2〜3%を目安に見積もると良いでしょう。ポイントを払う事で利子を抑える場合はその費用も多めに見積もってもいいと思います。
住宅ローンのポイント計算方法
借入額に○○%を掛けた額
例)$100,000 x 4.5% = $4,500
ステップ2:融資可能な金融機関を探す
住宅ローンのリファイナンスは既存の金融機関でなくても可能です。
まずは現在住宅ローンを組んでいる金融機関に相談をして、リファイナンスを扱っているか、現在の金利がどれ位なのか等を確認します。
最低でも3つの金融機関に電話をして、一番条件がよく自分に有利になると金融機関を選んでください。
手間は掛かりますが15〜30年の長期契約になるのでよりよい条件の金融機関を選ぶようにするといいです。
仮審査をするため金融機関はあなたの現在のクレジットスコアを調べます。
これはクレジットスコアによって、住宅ローンの金利が変わってくるからです。クレジットスコアを740点以上に保っていれば、いい金利条件でローンが組めます。
この際、ハードInquityが発生しクレジットスコアに影響しますが、同じ期間内(約14〜45以内)であれば何度クレジットチェックをされてもクレジットスコアに影響は出ないようになっています。
金融機関からの仮審査が通ればいよいよ住宅ローンのリファイナンス(借り換え)の手続き開始!
ステップ3:金融機関を決め、住宅ローンの申請する
自分の条件にあった金融機関が見つかったら、その金融機関へ住宅ローンリファイナンスの本申請をします。金融機関は下記の書類を提出するよう求めてきますので、事前に準備しておくとよいでしょう。
- 直近2ヶ月の給与明細
- 過去2年分のタックスリターン
- 直近2ヶ月の銀行口座の明細書 (金融機関によってはオンラインであなたの銀行と自動的にリンクすることもできます)
- 一番最新の住宅ローンの明細書
- 固定資産税の明細書
- 現在加入している住宅保険の書類
- 直近2ヶ月の給与明細
- 過去2年分のタックスリターン(W-2)
- 直近2ヶ月の銀行口座の明細書 (金融機関によってはオンラインであなたの銀行と自動的にリンクすることもできます)
- 一番最新の住宅ローンの明細書
- 固定資産税の明細書
- 現在加入している住宅保険の書類
- Earnest Money(手付金):約$500〜
金融機関から送られてきたリンク又はWebサイトから住宅ローンの本申請をする。
各金融機関によって入力フォームは異なりますが入力する内容はほとんど同じです。
この時、総資産と負債額を事前に把握しておく事で手続きがスムーズに進みます。
資産
- 銀行預貯金
- 株式投資
- 債券
- Mutual Fund
- CDs
- 個人年金口座
- 不動産資産
負債
- 住宅ローンの残高
- クレジットカードの残高
- カーローン
- 奨学金ローン
このような情報はDTI(Debt To Income ratio: 収入に対する負債の割合)、簡単に言うとローン申請者に返済能力があるかどうかを厳しく審査するためです。
全ての項目を入力したら必要書類アップロードし本申請手続き完了となります。
ここで注意!
ローン審査が始まったら、大きな買い物や高額な送金等は避けてください
ステップ4:金利レートを選択&固定
ローンオフィサーは最新の金利から、契約可能な住宅ローンのオプションを探し、いくつか用意してきます。
この中から自分たちにあったローンを選んでください。
住宅ローンの期間・ポイント前払いの有無で金利レートが変わり、月々の支払額も変わります。
あなたの家計に合ったローンを選び最終的に金利レートをロック。
住宅ローンのロック
アメリカの住宅ローンの金利は毎日変動しています。金利レートをロックすると購入手続き完了日(クロージング)が1ヶ月後の場合であってもロックした当時の金利レートで確定します。
ステップ5:住宅ローン申請の書類にサイン
ローン本申請の際に入力したデータを元に、住宅ローン申請の書類が作成されます。全ての書類に目を通してイニシャル、サインをE-ドキュメントで処理していきます。
この後、ローンオフィサーはその書類及び必要添付書類を確認し、アンダーライター(ローン審査官)に書類を送ります。
ステップ6:Appraisal(不動産のリセールバリュー評価)をする
A. Cash Outリファイナンスをする場合
現在の不動産価値価格(リセールバリュー)を調べる為に金融機関がAppraiser(アップレイザー)を現地へ派遣。
リファイナンスする不動産のAppraisal(リセールバリュー評価)を行います。
直近の不動産マーケット売買履歴と比較しながら、Appraiser(アップレイザー)はその不動産の価値がどれくらいあるかを調べレポートを作成します。
このレポートを元に金融機関はどれだけCash Outが可能か決定します。多くの金融機関はAppraisal Value(リセールバリュー)の最高80%を上限に住宅ローンを組み直します。
B. 現在の住宅ローンの残高のまま、低金利へと乗り換えする場合
リファイナンスする不動産にすでに含み益(Equity)が十分にあると明らかな場合には、Appraisal(リセールバリュー評価)をせずに手続きをする金融機関もあります。
ステップ7:アンダーライターにさらに必要な書類を提出する
先に書類を提出していますが、ここからアンダーライター(ローン審査官)による詳しい書類をチェックが入ります。
ここでさらに書類を提出するように求められる場合がほとんどですので、求められたらどんどん提出して下さい。
手続きが長引き、クロージングの日が月をまたいでしまった場合には、先に提出した分より後の銀行の明細書を提出するよう求められます。
ちなみに今回の私たちのリファイナンスでは、次の書類を追加で用意するようリクエストされました。
- グリーンカードの裏表コピー
- 過去のクレジットスコアチェックの詳細(物件探しで年間で何度もクレジットスコアチェックをしている為、その理由を聞かれました)&負債額の有無、あれば月の返済額
- Cash Outするお金を何に使うのかと説明するレター
- HOAの直近の請求書、HOAが無い物件なので無いと説明するレター
- 現在の社宅の賃貸料が無料であると説明するレター
- 現在住宅ローンを組んでいる金融機関からMortgage Payoff Statementを発行してもらい提出。(このステートメントには有効期限があるのでそれまでに必ず完済しないといけない)
- 過去数年内に住んでいた家の住所確認
ステップ8:プレクロージング(仮売買決済書)が届く
ここまでくれば、ゴールはすぐそこです。
アンダーライター(ローン審査官)からプレクロージング書類が届くので、中身を確認してサインをします。
クロージング諸費用のおおよその金額が把握できるようになります。ところが、まだまだ確定ではなくクロージング(売買決済日)の日ギリギリまで何度か金額を調整していきます。
ステップ9:クロージングDAY(売買決済日)
ついにこの日がきました!これで最後です。
通常住宅ローンのリファイナンスであれば、住宅購入時のローンよりも早く手続きが可能です。
- 借入する本人
- Driver’s License
- 銀行振込にするならVoided小切手を用意
通常はタイトルカンパニーや弁護士事務所などで行うのですが、私たちが2021年にリファイナンスをした時はCOVIDの影響でNortary(公証人)に我が家まで出向いていただきました。
全ての必要書類に目を通しサインをしていきます。書類が分厚いので、全てに目を通すのは目が回る作業です。Nortary(公証人)が大まかな内容を説明してくれますので、しっかり聞いてサインをしましょう。わからない事があれば質問して、理解してからサインするようにすると尚良いです。
今回のクロージングの書類は合計127ページありました。(ちなみに少ない方です)
事前にプレクロージング書類としてPDFで届いていたので、書類の全てに目を通しており手続きは早く済みました。
ステップ10:既存の住宅ローン完済&キャッシュアウト
これで晴れてリファイナンスは完了!
ここから1週間以内には既存の住宅ローンが、リファイナンス・ローンによって完済されます。
キャッシュアウト・リファイナンスの場合は、Equity(含み益)が現金化され、小切手又は銀行口座に振り込まれます。
まとめ
いかがだったでしょうか?
ここでもう一度リファイナンスのポイントを見ていきましょう。
- 金融機関とまめに連絡を取り合いましょう
- リファイナンス中は大きな買い物は避けましょう
- 大きな金額のお金の出し入れは避けましょう
- 手続きには時間も手間もかかるので辛抱が必要です。
住宅を購入するのも、リファイナンスするにも時間と経費が必要です。
住宅ローンのリファイナンスをしてお得になる場合は、毎月の固定費が下がり家計にゆとりが出るので考慮する価値はあると思います。
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