VA Disability/ディサビリティー(障害年金または障害保障)について耳にしたことはありますか?VA Disabilityとは何なのか?どのように申請するのか、そしてどのような手続きが行われているのか疑問はありませんか?
\この記事で分かること/
- VAディサビリティーベネフィットとは何か
- どんな人がもらえるのか
- どんな保障があるのか
- VAの障害%はどのように計算するのか
こんにちは、るうママです!
昨年、ついにうちのパパが米軍をリタイアしました。
リタイアに向け配偶者の私も学ぶべきことが盛りだくさん。これまでに学んだことを日本語でシェアできたら良いなと思い記事を書いています。
この記事を読めば基本的なVA Disability/ディサビリティーについての知識をつけることができます。それでは一緒に学んでいきましょう!
VA Disabilityって何?
まずこのVAはVeterans Affairの略で日本語では米国退役軍人省のことです。
米軍から退役または、除隊すると生涯ずっとお世話になる省なので、この機会にぜひ覚えておきましょう!
VA Disabilityにも大きく分けて2つあります。
ひとつはよく知られている「VA Disability Compensation (pay)」日本語で言うと「軍人障害年金」です。
そして、軍務中に負傷したり疾病を発症した軍人の障害度合いをVAが評価する指標のことを、VA Disability Ratingと呼んでいます。
VA Disability Ratingは0%〜100%まで10%刻みで設定されていて、障害の度合いが重いほど高いレーティングが与えられます。そして、このレーティングに応じて障害年金の金額が設定されており、この年金は完全非課税になっています。
もうひとつは「VA Disability Benefits」日本語では「障害軍人保障制度」。
固定資産税等の減税・免税、医療保障、就業支援、学業支援、生活支援など、その他さまざまな保障やベネフィットがあります。
それぞれ保障内容が充実していてこの記事に入りきらないので、ふたつめの障害保障のVA Disabilityベネフィットは別記事で後ほどまとめたいと思います。
VAオフィシャルから、VAベネフィットを紹介する分かりやすい動画がたくさん出ていますので、詳しく学びたい方には大変おすすめです。
他にも、RedditにVeteransBenefitsというグループがあり、その中に大変細かく説明されている超有料級のVeterans Benefits Knowledge Base (KB)があるので配偶者に見るようにぜひ勧めていただきたいです。
誰に該当するの?
VA Disability Ratingを受けるためには以下の条件を満たす必要があります。
まず第一の適格判断が下記の条件二つに必ず当てはまること。
- 現在、心身に影響を与える病気や怪我があること
- 現役、現役訓練、または非現役訓練に従事したこと
そして、下記の条件が一つでも該当する場合
- 軍隊に在職中に病気や怪我をした、またはその状態と関連付けることができること
- OR 軍隊に入隊する前に病気や怪我があったが、在職中に悪化したこと
- OR 現役を終えた後に現れた、現役時代のサービスに関連する障害があること
リタイアした、しないに関係なく、障害の度合いによって障害年金がもらえる仕組みです。
Presumptive Conditions(推定コンディション)
推定コンディションとは、軍隊がその状態を引き起こしたと自動的にみなされる状態のことです。この場合、サービスがその状態を引き起こした事を証明する必要はありません。
例)ベトナム戦争で使用された枯葉剤による病気や、湾岸戦争症候群など。
Service Connected(軍務と関連づける)には、軍役中に医師にかかって治療した履歴を可能な限り残すことがポイントになります。
VA Ratingはどのように計算されるのか?
VA Disability は軍人が持つ各障害ごとにレーティングが設定され、それらを組み合わせて最終的なレーティングが決まります。
各障害のレーティングは、VAが定めたDisability Benefits Questionnaire(障害評価基準)に基づいて医師が判断しています。
障害評価基準は約800種類あり、それぞれに具体的な障害の定義や診断方法、レーティングの基準が記されています。
障害評価基準の例
例えば、「右膝関節運動制限」の場合は、膝をどれだけ曲げられるかによってレーティングが決まっています。
- 膝関節運動制限なし(屈曲角度60度以上):0%
- 膝関節運動制限あり(屈曲角度45度以上):10%
- 膝関節運動制限あり(屈曲角度30度以上):20%
- 膝関節運動制限あり(屈曲角度15度以上):30%
というようにレーティングが設定されています。
うちのパパはパラシュート部隊に所属していたため、ヘリからのパラシュート降下訓練で膝や腰に負担が多くこの屈曲障害があります。最終的に膝の手術となってしまいました。
各障害レーティングの組み合わせ計算方法の例
各障害のレーティングを組み合わせる際はVAが定めた組み合わせ表(Combine Ratings Table)を用います。
認定された障害が2つある場合
例)右膝関節運動制限が20%、左膝関節運動制限が10%の場合は、
この場合、20%と10%の重なる数字は28%
先に出た結果の28%を最も近い10%刻みの数値に繰り上げると30%
このように最終的なレーティングが決まります。
VAオフィシャルサイトにある自動計算機でも下記のように簡単に計算できます。
認定された障害が3つ以上ある場合
3つ以上の障害のレーティングを組み合わせる場合は、2つずつ組み合わせていきます。
例)退役軍人がもつDisabilityレーティングが3つあり、1つ目が60%、2つ目が40%、3つ目が20%と評価されているとします。
まず、最初の2つ、60%と40%の重なるレートは76%
次に、先に出た結果の76%と3つ目の20%を組み合わせて81%
81%を最も近い10%刻みの数値に切り捨てると、80%となる
このように最終的なレーティングが決まります。
VAオフィシャルサイトにある自動計算機でも下記のように簡単に計算できます。
VA Disability Compensation(VA障害年金)手当について
次に、VAからDisabilityレートの確定が出たら、そのレートによってVA障害年金が決まります。
年金額は扶養する家族構成によって変わってくるため、日本語で分かりやすく見れるよう、下記の図を作ってみたので参考にしてみて下さい。
計算例)VA Disability Rateが60%、ベテラン+配偶者+子ども(18歳以上学生)1人+子ども(18歳以下)2人の5人家族の場合:
上の表の上から4番目の「ベテラン+配偶者+子ども」を見ます → $1,617.93
表の下にあるAdditionalを参考に残りの子どもの数を追加します。
18歳以上の学生 ひとりにつき追加→ $205.00
18歳以下の子ども ひとりにつき追加 → $63.00
合計は$1,617.93 + $205 + $63 = $1,885.93
このVA Disabilityレートは一般情報公開されているので、「VA Disability Pay 2025」などとGoogle検索すると金額がでてきます。
毎年インフレーション調整(COLA)が行われており、VA障害年金は完全非課税の年金です。
この他にもVA Disabilityを計算できる多くのサイトがありますので、参考に下にいくつか載せておきますね。
他にもVA Disabilityを見積もり計算できる便利な無料アプリもあります。下記画像クリックでApple Storeにリンクします。(アフィリエイトではありません)
その他の特別障害年金
VA DisabilityにはRatingとは関係しない、特別障害年金「Special Monthly Compensation(SMC)」と呼ばれるものがあります。
これは軍務によって重度の障害(体の一部が機能不能・切断等)を負ったベテランや障害のある配偶者、未亡人、親に支給さる特別障害年金です。
詳しい説明及び支給額はVAオフィシャルサイトよりご確認ください。
この他にも「Special Benefit Allowance Rate」と呼ばれるものもあります。
これは福祉車両の援助や、衣服手当、Medal of Honor(最高位の軍事勲章)授章者への特別追加手当などがあります。
詳しい説明及び支給額はVAオフィシャルサイトよりご確認ください。
VA障害年金がペンション(米軍年金/退職金)にどのように影響を与えるか
VA Disabilityレートが50%を超えるとペイチェックが2つもらえる。と聞いたことがありますか?
実はこれには理由があります。
リタイアした場合でVA Disabilityが認定された場合にはどれだけペンションが支払われるのか、どこから支払われるか少し複雑になってきます。
2004年まで、満額のペンションとVA障害年金を同時に受け取ることが法律で禁止されていました。そのため、退役軍人はそのどちらを受け取るか決めなければならず、VA障害年金の受け取りを選んだ場合にはその金額はペンションから差し引かれて(相殺されて)いました。
この法律を変える新たな法律が2つできているので紹介します。
Concurrent Retirement Disability Pay (CRDP)
Concurrent Retirement Disability Pay (CRDP)
2004年に新たにできた法律。
50%以上のVA Disabilityが認定された場合には自動的に満額のペンションとVA障害年金を同時に受け取ることが出来る。
この法律改定後には、VA Disabilityレートが50%を超えると、DFAS(Defense Finance and Accounting Service)から自動的にPension(米軍年金/退職金)の満額を、そしてVA(退役軍人省)からVA Disability Compensation(障害年金)をいただけるようになりました。
2つの政府機関から別々に振り込まれるので、VA Disabilityが50%を超えるとペイチェックが2つもらえるというわけです。
ポイントは、VA Disabilityレートが50%以上ということ。
VA Disabilityレートが50%以下の場合にはVA障害年金を追加で受け取ることができず、これまで通りペンションから相殺されて受給されます。
その後も50%以下のVA Disabilityには法律が変わることが無かった為、さらに新たな法案を提出してできたのが下記の法律です。
Combat Related Special Compensation(CRSC)
Combat Related Special Compensation(CRSC)
2008年に新たにできた法律。
退役軍人で10%以上のコンバットに紐づくVA Disabilityが認定された場合には、そのコンバット(戦時)に紐づくVA Disability分の認定%はペンションから相殺されずに追加で受給できるようになりました。
このCRSCもVA障害年金と同じく完全非課税になります。
このCRSCを受給手続きは、VAではなく、各ブランチ(MarineならMarine、ArmyならArmy)にDD form 2860を記入し必要書類を添付して申請する必要があります。
詳しい内容はVAオフィシャルサイトよりご確認ください。
CRSCのポイントは退役軍人であること。
現在、メディカルリタイア/除隊したベテランのサービス年数に関係なく、コンバットに紐づく障害があればCRSCが認められるようにとMajor Richard Star Actという法案が出されています。
この新法案が通って多くの傷ついたベテランが補償を受けられることを切に願います。
まとめ
この記事ではVA Disability Compensationとは何か、誰が該当するのか、そしてどのように計算されるのかを説明しました。
VA Disability年金は障害を持つ軍人にとって一生続く大きな支援となり、ベテランに不幸があった場合には残される家族への支援としても大きく関わってきます。
大抵の軍人はまだ若いうちに兵役を終えますね。
もしあなたのパートナーが軍務中に負傷したり疾病を発症したりしたことがあるなら、必ずVA Disability Ratingを受けてみるよう勧めて下さい。今は元気でも今後もそうとは限りません。
中には自分はタフだからDisabilityはいらない、もっとWell Deservedの方に与えられるべき保障だよと申請しない方がいます。気持ちすごく分かります。ところが兵役中の負傷は若いうちには気づかなくとも、後に現れることが良くあるのです。
例えば、実際に障害が後に出てきているものがBurn Pit(露天焼却)による被害です。アフガニスタンやイラク戦争では、危険物や汚物等を全く分別せず、全て廃棄物として毎日のように露天焼却していました。その際に発生した煙や化学物質を吸ってしまった人や近くに暮らしていた人の健康に潜在的なリスクをもたらす可能性があるとして新しい法律(PACT Act)が2022年に設立されました。
実際に癌や、呼吸障害など、その他さまざまな障害によって今でも軍人を苦しめてる現実があります。ベトナムやイラク、アフガニスタンに派遣された軍人の方はぜひこのBurn Pit Registryに登録して下さい。
また、VAレーティングで結果が0%であっても、Service Connectedになっていれば今後症状が悪化してしまった場合にレーティングが上がることもありますし、VAの医療保障を受けることができます。
大切なのはVA Disabilityを必ず申請することです。
それでは!長い記事読んでいただきありがとうございました。
この記事が誰かのお役に立てれば嬉しいです!
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